香港から中国工場に戻る時は、日曜の夜電車で国境を越え会社からの迎えの車に乗り工場まで行くか、月曜の朝、高速フェリーで国境を渡るか交代で決まっていた。

中国にも慣れてきた日曜のある夜、中国のホテルで食事をしてから工場に行こうと言う事になった。国境を越え、シンセンの街中の汚い裏通りを歩いていると、案の定、浮浪者の子供が近寄って来る。

それをうまく逃げながら進んでいくと、今度は浮浪者らしくない比較的綺麗な服を着た若い女性が近寄って来る。こんな所で怪しい人達に関わると、たとえ美女であろうとろくな事が無いので逃れようとすると、今度は声を掛けてきた。

『按摩好不好？（あんまはどうですか）』意味は分かったが、関わりたく無いので北京語で『理解できません。』と辿々しく答え立ち去ろうとした。

すると今度は、『セックス、セックス！』とでかい声で叫ぶでは無いか！
これにはつい、立ち止まって振り返ってしまった。中国に来てから、工場のごく一部のスタッフしか英語を話せず、タクシーの運転手や通行人で英語が通じた例しがない。

『セックス』と言う言葉は、日本の『こんにちは』よりも世界的に有名なのかも知れないと思いつつ、しばらくその子を眺めていたが、『No、thanks！』と答えて立ち去った。（本当か？by.吉田）

ちょっと話してみたい気もしたが（と言っても、対して北京語を話せる訳でもないが）、中国でそう言う事をして警察にでも見つかるとパスポートに・・・・。

という判子を押されて入国できなくなるという噂話を聞いていたので、素直に諦めることにした。（ありそうな気がするし、これは恥ずかしいな！by.吉田）

仕事でこの国に来たので無ければ、自分の今後の話のネタに食事でも連れて行き、なんでこんな事をしているのかとか、これで幾ら稼いでいるのか、とか非常によけいな事を聞いてみても面白いかも知れない。